COLUMN 建物トラブル解決コラム

2023.12.12

少し珍しい左官仕上げにはどのようなものがある?

建物トラブル解決コラム

左官仕上げは、伝統的な日本の建築において美しい仕上がりを実現する技術であり、技術や職人の手仕事が重視されます。

近年では、現代の建築でも左官仕上げが採用され、特に和風の要素を取り入れたり、特定のデザイン効果を求めるために利用されることもあります。

今回は少し珍しい左官仕上げについて紹介していきます。

左官仕上げの種類│ドロマイトプラスター仕上げ

ドロマイトプラスター仕上げは左官仕上げの一種であり、ドロマイトと呼ばれる苦灰石を原料とした特殊なプラスターを使用して壁面や天井などの表面を仕上げる方法です。

ドロマイトプラスター仕上げの特徴や利点は以下の通りです。

■耐久性
ドロマイトプラスターは堅牢で耐久性があります。
壁面に施工されると、長期間にわたって強靭な表面を保ちます。

■調湿効果
ドロマイトは湿気を吸収し放出する性質があり、室内の湿度を調節する効果があります。
このため、室内の快適な環境を保つのに役立ちます。

■見た目と質感
滑らかで均一な表面を作り出し、独特の質感と美しい仕上がりを提供します。
また、色調を変えることで、特定のデザインや雰囲気を演出することも可能です。

■環境に優しい
天然の原料で作られたドロマイトプラスターは、環境に優しい建材の一つとして注目されています。

旧丸ビルや国会議事堂など、戦後の建物の内装にドロマイトプラスターが多く採用されていました。

ドロマイトプラスターと漆喰はよく似ているのですが、ドロマイトプラスターはドロマイトに含まれるマグネシウムが水と反応すると、粘性を持つため糊を入れる必要がありません。

ドロマイトプラスターは漆喰と比べて乾燥が早く強度も高いというメリットがある一方、乾燥による収縮が大きいため亀裂やひび割れが発生しやすいというデメリットもあります。

左官仕上げの種類│なまこ壁

なまこ壁は左官仕上げの一種で、特定のパターンやデザインを持つ、凹凸のある壁仕上げのことを指します。

盛り上げた漆喰がなまこに似ていることから、その名がつけられました。

なまこ壁仕上げの手法

① 下地作り
壁面の下地を整えます。
一般的に漆喰や石膏を使用し、均一で平滑な表面を作ります。

② 版の用意
模様をつくるための版を準備します。
なまこ壁では、なまこ状の模様を刻んだ木版や特殊な型板を使用します。

③ 左官材の塗布
壁面に漆喰や石膏などの左官材を塗ります。
このとき、用意した版を使って模様を転写します。
職人は板を使って左官材を均等に塗り、その後になまこ模様の板を使って凹凸を作ります。

④ なまこ模様の仕上げ
模様を作りながら左官材を均一に塗り、なまこ状の模様を作り出します。
模様が形作られたら、乾燥させてから表面を整え、美しい仕上がりを目指します。

なまこ壁は手作業で盛り上げ、形を作っていくため、非常に高い技術が必要となる手法です。

左官仕上げの種類│研ぎ出し

左官仕上げの研ぎ出しは、壁面や天井などの表面を滑らかで均一な仕上がりにする左官技術の一つです。

この技法は、左官仕上げの最終段階で行われ、表面を磨いて均一な光沢を持たせることを目的としています。

研ぎ出しは継目がないため、デザインの自由度が高く、3次曲面の施工も可能となります。

左官仕上げの種類│大津磨き壁

大津磨き壁は日本の伝統的な左官仕上げの一種であり、滑らかで光沢のある壁面仕上げの技法です。

大津磨き壁は紙一枚ほどの厚みしかなく、非常に繊細な仕上げとして、最高級の仕上げ技法の一つと言われています。

顔が映るくらいの鏡面仕上げにするには職人の手仕事と熟練した技術が必要であり、名人と呼ばれる職人でも1坪程度の大きさの壁を1日かけて仕上げるほどです。

近年では、糊(石灰クリーム)を入れてアレンジをした現代大津磨きという手法も誕生し、施工性が良くなったことで、従来の大津壁では成しえなかった曲面を仕上げることができるようになりました。

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