2025.12.22
外壁の目地が割れてきた?補修のタイミングと対処法を解説
家を長期間守る上で、外壁のメンテナンスは欠かせません。
その中でも特に重要な役割を果たしているのが、外壁の目地部分です。
サイディングボードやALCパネルといった外壁材のつなぎ目にあるこの細いラインは、建物を雨水や振動から守る「防水の生命線」とも言えます。
しかし、この目地に使われているシーリング材(コーキング材)は、紫外線や温度変化の影響を常に受けており、時間の経過とともに必ず劣化し、ひび割れや剥がれといった症状が現れます。
この記事では、外壁の目地が割れる原因や、補修が必要なサイン、そして適切な対処法について、詳しく解説します。
見過ごせない!外壁の目地が割れる原因と劣化のサイン

外壁の目地が劣化する主な原因は、シーリング材が持つ耐用年数によるものですが、具体的にどのような現象が起こっているのでしょうか。
1.紫外線と熱による劣化(硬化・収縮)
シーリング材は、主成分である樹脂が紫外線や熱に晒されることで、柔軟性を失い、徐々に硬くなります。
硬くなったシーリング材は、建物の微細な動きや温度変化による外壁材の伸縮に対応できなくなり、ひび割れ(クラック)を引き起こします。これが、目地の最も一般的な劣化サインです。
2.シーリング材の痩せ・剥離
シーリング材の成分が揮発したり流出したりすることで、幅が細くなる「痩せ」という現象が起こります。
また、外壁材との密着力が弱まると、目地材が外壁から剥がれてしまう「剥離」が発生します。
特に剥離は、雨水が直接建物の内部に侵入する危険性が高まるため、非常に危険なサインです。
3.破断(亀裂)
目地の中央にシーリング材が切れてしまうような大きな亀裂が入ることを「破断」と呼びます。
これは、外壁材の動きに対してシーリング材が全く追従できなくなった状態であり、防水機能が完全に失われていることを意味します。
これらの劣化サイン、特にひび割れや剥離が見られたら、それは即座に外壁の目地の補修が必要なタイミングであると認識してください。
外壁の目地の劣化を放置すると発生する深刻なリスク

「目地のひび割れくらい」と軽視して放置してしまうと、家の構造全体に深刻なダメージを与えることになります。
1.雨漏り・漏水
目地のひび割れや剥離から雨水が侵入すると、外壁材の裏側にある防水シートや、さらに奥の構造材(柱や梁)を濡らします。
これが直接的な雨漏りの原因となるほか、壁の内部に湿気がこもり続けることになります。
2.構造材の腐食
木造住宅の場合、構造材が常に湿った状態になると、腐朽菌が繁殖し、木材が腐食します。
構造材の強度が低下すると、家の耐震性が大幅に落ち、最悪の場合、大規模な補修が必要になる事態を招きます。
3.シロアリの発生
湿った木材はシロアリにとって格好の餌場となります。
目地の隙間から侵入したシロアリが、湿気を含んだ構造材を食い荒らし、建物の耐久性をさらに低下させるリスクがあります。
外壁の目地は、家全体の防水・耐久性を担う重要な部位であるため、わずかな劣化も見逃さずに早急に対処することが、家の寿命を延ばすことにつながります。
適切な補修方法!外壁の目地の打ち替えと対処法

目地の補修方法は、劣化の程度や使用されているシーリング材の種類によって異なりますが、一般的な対処法は「シーリングの打ち替え」です。
1.シーリングの打ち替え(推奨される補修法)
【工法】
既存の目地材をカッターなどで完全に除去し、外壁材の断面を露出させます。
その後、プライマー(接着剤)を塗り、新しい高性能なシーリング材を充填し直す工法です。
【メリット】
目地材の寿命をリセットし、新しい防水機能を持たせることができます。
耐久性の高いシーリング材を選ぶことで、次のメンテナンスまでの期間を延ばすことが可能です。
2.シーリングの増し打ち(軽度な劣化や一部の目地の場合)
【工法】
既存の目地材の上から、新しいシーリング材を重ねて充填する工法です。
【メリット】
既存材の撤去作業がない分、費用と工期を抑えられます。
【注意点】
既存のシーリング材と新しい材の密着が不十分だと、結局すぐに剥がれてしまうリスクがあります。
また、既存材の劣化が激しい場合(破断、大きな剥離など)には適していません。
軽度なひび割れや、目地が痩せた場合など、限定的な状況でのみ採用されます。
外壁の目地の耐久性を確保するためには、手間と費用がかかっても「打ち替え」を選択することが、最も確実で長期的なメンテナンスとなります。